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「海外展開への挑戦〜インドネシア事業」篇 Part 2

インドネシア共和国バンテン州/2018年10月竣工

プロジェクト・ノート

40年以上の歩みが「BRANZ」ブランドの現地展開を生み出した

インドネシア現地法人 代表

本記事は2019年3月の取材を基に執筆されたものです。

1975年に進出以来、40年以上にわたって事業を展開するインドネシア。2018年には、海外で初めて日本の「BRANZ」ブランドを冠するマンションが誕生し、開発業務だけでなく、建物管理業務の提供も開始しました。成長著しいインドネシアで挑戦を続ける2つの現地法人の代表に、インドネシア事業にかける想いを聞きました。

インタビュー
斎藤 圭司:PT. TOKYU LAND INDONESIA(TLID) 代表取締役社長
寺島 弘太郎:PT. TOKYU PROPERTY MANAGEMENT INDONESIA(TPMI) 代表取締役社長

分譲戸建てから始まったインドネシア事業の歴史

斎藤:東急グループがアジアや太平洋沿岸諸国へ進出する「環太平洋構想」を推進するなかで、1975年、ジャカルタから約100キロメートル離れたバンドンで分譲戸建て事業をスタートしたのが、当社のインドネシア事業の始まりです。1981年にはジャカルタに進出し、これまでに10拠点で約5,000戸の戸建て住宅を供給してきました。その後、分譲マンション事業やオフィス、商業施設などの都市型事業にも取り組むため、2012年にPT. TOKYU LAND INDONESIA(TLID)を設立しました。転機は、今もパートナーとして一緒に事業を行っているPT. Jakarta Setiabudi International Tbk.さんが行っていた分譲マンション事業への参画です。その参画をきっかけに、それまでの中心だった戸建て事業から分譲マンション事業へと、私たちの事業は大きくシフトしました。

寺島:PT. TOKYU PROPERTY MANAGEMENT INDONESIA(TPMI)は、2017年11月に法人登記し、2018年4月から営業開始したばかりの会社です。コンドミニアム、マンションやオフィスビルといった商業用不動産の管理を行っています。マンションをただ管理するというよりは、運営するという感覚に近いと思います。居住者である賃借人の方やオーナーさまの居室内サービスにも関わる点が日本との大きな違いであり、特徴のひとつです。そのほか、日本だと管理人が数人いて居住者の方の窓口になりますが、インドネシアでは数多くのスタッフが常駐し、居住者の方にさまざまなサービスを提供するという、スケールの大きなところがありますね。

斎藤:TLIDは2012年の設立以来、「BRANZ BSD」と「BRANZ SIMATUPANG」という2つの大きなプロジェクトに取り組んできました。これらのプロジェクトで土地を取得し、許認可を取り、そして建築し、お客さまに販売して引き渡すという、開発にかかわる全サイクルを経験できました。この2物件は2018年に竣工し、TPMIによる建物管理のサービスがスタートしています。

TLID代表の斎藤

インドネシア人の仕事の進め方を理解しながら課題を解決する

寺島:私たちが現地で問題に感じているのが、一言で言うと、行き当たりばったりな建物管理の方法です。問題が起きてから「さあ、どうしよう」と言って修繕することが多いのですが、私たちが提供したいのは、先手を打って予防的な措置を行っていく建物管理です。そのためには長期的な計画が必要です。それを日常の管理業務に落とし込み、計画を立てて実行します。建物管理では、問題すら起きないことが一番よい状況であると考えています。居住者や物件オーナーの方に、快適な環境を常に感じてもらえるようにしていくのが、私たちの目標です。

斎藤:インドネシアでは、長期的な修繕計画を立てて資産価値を維持・向上させていくという考え方が、まだ浸透していません。しかし、日本と同様にこれから必ず必要になってくる考え方だと思っています。街中を見渡すと日頃の管理が全くなされていない建物が非常に目につきます。TPMIと一緒になって、今インドネシアでできていない建物管理の重要性を強く訴え、実践していくことで、現地企業との違いを明確にできると思っています。

TPMI代表の寺島

グループ一丸となって「BRANZ」ブランドを根付かせたい

斎藤:現在、日本の他のデベロッパーもインドネシアには進出してきていますが、私たちはすでに自分たちで土地を取得して、建設から販売まで行うことを経験しており、プロジェクトを主体的に推進することができます。それが私たちの強みですし、主体的に進めているプロジェクトだからこそ、日本の「BRANZ」というマンションブランドを冠することができているのです。2018年に竣工した「BRANZ BSD」と「BRANZ SIMATUPANG」では、すでにお客さまの生活が始まっています。販売して終わりではなく、販売後の生活においても、グループ一丸となってお客さまの役に立って行きたいと思います。

寺島:建物管理においては、派手なことはなかったとしても、それを確実にやり遂げていくことが重要だと思っています。インドネシアで建物管理を行うにあたり、これまでにさまざまなサービスを準備してきました。10年、20年とお客さまが建物で生活し、そのサービスが利用されていくなかで、しっかりと最後までやり通せるかどうかが重要なポイントです。そのためには日本のスタッフだけでなく、インドネシアのスタッフの力が必要不可欠です。文化的な違いや言葉の違いもあるので、社内で日本とインドネシアの違いを相互理解できるような勉強会やディスカッションの場などを用意して、さまざまな角度からコミュニケーションを図るようにしています。

斎藤:現在、当社主導で進める3つ目のプロジェクト「BRANZ MEGA KUNINGAN」に取り組んでいます。ツインタワーで1棟が分譲マンション、もう1棟が賃貸マンションとなっており、インドネシア事業で初めて住宅の賃貸業にチャレンジしています。これまでも日本品質の建物をインドネシアで展開してきましたが、昨年から建物管理のサービスもお客さまに提供できるようになりました。今後も、日本のよい部分をインドネシアの住まいに展開し、日本のマンションブランド「BRANZ」をインドネシアで浸透させていきたいと思っています。

スペシャルムービー

特別インタビュー

PT. Jakarta Setiabudi International Tbk.
代表取締役社長 Jefri Darmadiさん

私たちは、主に不動産への投資、開発、物件管理を行うインドネシアでも最大規模の会社です。現在、東急不動産さんとパートナーシップ契約を結んでいます。きっかけは、当時社長だった金指潔さんとお会いしたことでした。
最初の共同プロジェクトは、10年ほど前に始まった「ステアブディ スカイ ガーデン」です。東急不動産の方々の第一印象は、人間味があり、温かくオープンであること。いつも私たちの言葉に耳を傾けてくれるプロフェッショナル集団です。当社の活動を尊重し、世界的な経験を共有してくれるグローバルパートナーと仕事ができることは、私たちにとっても、とても貴重な経験でした。最初のプロジェクトは、結果として大きな成功をおさめています。

市場が変化するなかで、難しい局面に直面したときに本当の姿が見えるものですが、東急不動産さんは、あらゆるマーケット状態のときも同じ姿勢で業務に取り組みます。彼らは「実行」と「時間厳守」に誇りを持っており、小さな間違いも見逃しません。小さな誤りを犯さなければ、大きな誤りを犯さないというのが、根幹にある考えだからです。私たちはこれまで3世代にわたってパートナーシップを結んできましたが、私たちがともに事業を行うパートナーには一貫性があります。それはリスクに対して常に正直で問題に対して率直な「企業」であり、「人」であるということです。東急不動産の方々は、現地を尊重し、現地から学ぶというオープンさを持っており、グローバル企業がローカル市場に進出する際の模範例を示してくれていると思います。彼らの考え方はとても参考になり、私たちの仕事にも大変よい影響を与えてくれています。

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