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TFHD GROUP MAGAZINE
2019年03月18日
「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」篇 Part 3
沖縄県恩納村/2018年8⽉開業
瀬良垣の伝統と文化を残しながら、独自に発展していく島へ
恩納村 瀬良垣区長 當山富行さん
2018年夏、沖縄・恩納村にある人口500人の地区に、新たなリゾートホテルが誕生しました。島の土地取得からホテルの完成まで、費やした歳月は10年超。この長期プロジェクトの実現には、地元の方々の理解と協力が不可欠でした。2001年から区長を務め、地域の代表として重要な役割を果たしてきた當山富行さんに話を聞きました。
沖縄のリゾートの先駆けだった瀬良垣ビーチ。
瀬良垣島にこんな立派なリゾートホテルができて、本当に嬉しく思っています。私たち住民一同の願いでしたから。恩納村は15の行政区に分かれていますが、ここ瀬良垣区には、その中でもいちばん美しい海が広がっていると自負しています。周辺にいくつも小島があり、むかしは漁が盛んでした。瀬良垣という地名は琉球語で「シラカチ」といい、「シイラ」という魚に由来します。海の暴れん坊のような魚なのですが、このシイラが大量に獲れて干物にしていました。ちなみに「シラカチ」は、ホテルの2階にあるレストランの名前にもなっていますね。
かつての瀬良垣島は農地として使われていて、サバニと呼ばれる小舟で行き来していました。そこに橋がかかったのは1960年代のこと。まだ「リゾート」という言葉も身近でない時代に、海水浴場やバーベキュー場をつくろうという計画が持ち上がり、沖縄が本土復帰する以前の1966年に開発を申請しました。地元の人たちの発案で、「瀬良垣ビーチ」という行楽地をつくったんです。沖縄のリゾートホテルは、1975年の沖縄国際海洋博覧会に向けて開発されたところが多いのですが、「瀬良垣ビーチ」はそれ以前から計画があり、いわば沖縄のリゾートの先駆けでした。沖縄本島と瀬良垣島をつなぐ海中道路をつくり、レストランやシャワー室も整備して、県内から大勢の人が余暇を楽しみに訪れました。私も学生時代にそこでアルバイトをしていたので、とても懐かしいです。
島にホテルをつくりたい。その思いはずっと一緒だった。
瀬良垣島にホテルを建設しようという話は、以前からずっとありました。もともと「瀬良垣ビーチ」を自分たちでつくったくらいですから、瀬良垣島をリゾートホテルにすることに反対する人はいなかったわけです。けれども、いろんな企業から話はあったのですが、なかなかまとまりませんでしたし、地元としても心配ごとが多くありました。率直に言うと、あまりに計画が進まないので、私たち自身が次第に「いつになったらホテルができるんだろう?」と思っていたくらいです。
そんな状況の時に、東急不動産の方々からお声がけがありました。「東急」という名前には覚えがありましたので、お会いする際にネガティブな印象は持っていませんでしたが、それでも「不動産」と付くと、つい最初は警戒しますよね(笑)。何度もコミュニケーションを重ねるうちに、少しずつ信頼関係が芽生えました。というのも、「ホテルをつくりたい」という思いはお互い共通なんですね。そこが他のホテル建設とは違っていたと思います。しかも東急不動産の方々は、瀬良垣区だけでなく、恩納村の村役場や漁業協同組合、商工会、観光協会など、さまざまな関係者を訪ねて非常に熱心に説得してくれました。「自分たちのことをそこまで考えてくれるのか」と思いましたね。だから、一度打ち解けてからの動きは早かったです。地元への事業説明など、会議の後はその流れでだいたい飲み会になるのですが、しまいには私たちの方が「早くホテルを完成させろ」というモードで東急不動産の方々を攻め立てていましたね(笑)。
ホテルと地域の交流を深め、住民の期待に応え続けたい。
瀬良垣区の人口はわずか500人程度ですが、ホテル完成時の内覧会には、その三分の一が参加しました。住民の関心の高さが分かってもらえると思います。やっぱり私たちにとって、瀬良垣島はとても愛着のある場所なんですね。むかしからリゾートがあったからこそ、そこにさらに発展した立派なリゾートホテルができるという喜びはひとしおです。一方で、島に入ったら非日常のリゾート、それ以外の場所は日常のエリア、という区分けは残していきたいと考えています。島にホテルができたからといって、地域全体を開発して発展させたいわけではないんです。私たちがずっと大切にしてきた瀬良垣の歴史、伝統、文化。これをしっかりと残していかなくてはならない。観光客の皆さんには、開発されていない手付かずの部分を、ぜひ見てもらいたいです。
瀬良垣には数多くの年中行事がありますが、なかでも一番大きいのは、旧暦の8月15日に開かれる豊年祭です。これは五穀豊穣を祈念して青年たちが伝統舞踊を披露する大切なお祭りです。毎年お見えになる東急不動産の方々に加えて、一昨年からはハイアットの野口総支配人にもお越しいただいています。また、エイサー教室や三味線教室などのサークル活動も、かなり充実しています。こうした地域の活動に、ホテルで働く方々にも積極的に参加してもらい、私たちなりに英気を養うお手伝いができたらと思っています。若い方々との交流にも、大いに期待しています。
私たちはホテルに関しては素人ですし、それぞれの事業者の方々は、それこそとても苦労されたと思いますが、今回のプロジェクトは本当に恵まれたなと強く感じます。東急さんにしても、ホテルを施工した竹中工務店さんにしても、ハイアットさんにしても、本当にいいタイミングで出会いがあり、こうしてすばらしい関係を築くことができ、私は感動しています。これだけいいものができたのですから、世界各国から訪れる観光客の一人でも多くの人に、この美しい海、そして瀬良垣の伝統と文化を感じてもらいたいですね。
Project Information
名称
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄
事業主体
東急不動産株式会社、NTT都市開発株式会社、株式会社ミリアルリゾートホテルズ
所在地
沖縄県国頭郡恩納村瀬良垣1108番地
敷地面積
39,476.74m2(11,941.71坪)
延床⾯積
38,448.87m2(11,630.78坪)
客室数
344室
付帯施設
レストラン・バー、スパ、プール、フィットネス、宴会場、チャペル等
開業⽇
2018年8⽉21⽇
(東急不動産 企業HP「未来への挑戦」からの転載)